6月8日から30日までを会期として、「第2回定例会」が開かれています。
東日本大震災発災後初の区議会ということもあり、各会派から防災対策、災害対策についての質問が相次ぎました。
日本共産党区議団からは、斉藤信行区議団長が代表質問を行い、大つきかおり議員と私、赤羽目たみおが区政一般質問を行いました。
私が行った一般質問の内容は次の通りです。
日本共産党江東区議団を代表して大綱3点について質問します
第一に国民健康保険料問題について質問します。
国民健康保険には高齢者や自営業者、失業者など収入が減っている方たちが多く加入しているのにもかかわらず、毎年のように保険料は引き上げられています。そのために国保料が高すぎて払えず無保険になったり、正規の保険証を取り上げられるなど、生活の困窮で、医療機関への受診が遅れたために死亡したとみられる事例が昨年1年間、全国で71件に上ったと報道されています。
江東区でも高い保険料が払いきれない世帯は、32,238世帯に上り、そのうち1年以上滞納し、病院の窓口で全額負担しなくてはいけない資格証明書の発行世帯は800世帯を超え、有効期限の短い短期被保険者証の発行数も増え続けています。私たち区議団にも、「保険証はあるが窓口負担が重く病院に行くのを控えている」「母子世帯で厳しい生活のなか、月数千円の保険料が重くて不安」など、相談が後を絶ちません。高すぎる保険料に「どこまでいじめたら気が済むのか」と怒りの声が広がり、国保料の引き下げが強く求められています。
区はこれまで「医療費の増大等に対応するために、保険料の改定は避けられない」として、保険料の値上げを強行してきましたが。高すぎる保険料が区民の命とくらしを脅かしている実態をどう認識しているのか、伺います。
今年度から保険料の算定方式が変更され、所得割の控除を基礎控除相当の33万円のみとし、これまで認められていた扶養控除、障害者控除、寡婦控除などが認められなくなります。高齢者夫婦や障害者、所得が少なく扶養家族が多い世帯などは、保険料が値上げされます。区の示した試算によると給与所得者で年収250万円の3人世帯では90,840円もの大幅な負担増になります。これは、一月に支払う保険料が2万円を超えます。区は2年間の経過措置をとり負担を軽減するとしていますが、経過措置をとっても、年間45,293円も値上げされます。区は保険料の負担は適正として負担を押し付けてきましたが、景気の低迷や雇用破壊、社会保障の負担増で大変厳しい区民生活の実態からみて、高すぎて払いたくても払えない保険料になっているとは思わないのか、区の見解を伺います。
区民には十分な説明もなく、一方的に算定方式が変更され保険料が値上げされることから、多くの区民から「なぜ算定方式を変えなくてはいけないのか」「自分の保険料がいくらになるのか」という声が上がっています。中野区や足立区でも区民から同様の声があがり、区民説明会を開きました。国保料の改定は、区民の生活と健康に直結する大問題です。区民の声に応え今からでも江東区として説明会を行うべきです。伺います。 今回の保険料算定の変更について区は、政府が進める医療保険制度の広域化に対応するためとしていますが、広域化の背景には財界の要請で健康保険における大企業の医療費負担をなくす、医療保険一元化のねらいがあります。厚労省は、昨年5月に各自治体に通達を出し一般財源の繰入をやめ、保険料に転嫁するよう求めています。区はこれまでわが党議員の質問に「広域化によって国保財政が安定する」と答弁してきましたが、広域化によって一般財源の繰り入れがなくなれば保険料はさらに値上げ、高過ぎる保険料が滞納を増加、国保財政の悪化が国保料の値上げという悪循環を加速させ国保制度の根幹が崩れることは明らかです。広域化によって区民の声が届かない組織運営につながることも後期高齢者医療制度の「広域連合」で証明されています。国民健康保険制度を充実させるためには、これまで国が減らし続けてきた国庫負担をもとに戻して、国保財政を抜本的に強化することが必要です。国庫負担を1984年の45%に戻すことや、国保事業の広域化方針撤回を江東区として国に求めるべきです。伺います。
区はこれまで、保険証の取り上げをやめて、減免制度の拡充や保険料を引き下げてほしいという区民の切実な願いに対し、負担の公平性や給付費の増加、制度の持続性などを理由に拒否し続けてきました。窓口負担を軽減する一部負担金減免制度は、区民への周知が不十分で昨年度実績は2件しかありません。今回の東日本大震災を教訓に、区民の命と暮らしを守るためには、災害に強い町づくりとともに、誰もが安心できる国民健康保険制度へと充実を図ることが不可欠です。区は、保険証の取り上げをやめ一部減負担金減免制度の周知徹底を図るとともに、区民が払える保険料に引き下げることに全力を尽くすべきです。伺います。
次に保育問題について質問します。
政府は、保育園待機児童を解消するためとして保育所など、児童福祉施設の面積等の最低基準を自治体の条例任せにする、いわゆる「地域主権改革一括法」を成立させました。配置する職員数や居室面積などについては、引き続き全国一律の基準とするとしましたが、東京都など待機児童が多い自治体では、保育所の居室面積基準も自治体にゆだねようとしています。このことについて、多くの保育関係者から「自治体任せになれば、保育所の子供の詰め込みが一層ひどくなる」などの批判が広がっています。23区特別区議会議長会も、国が進めようとしている規制緩和では、真の待機児解消にならないとし、政府に対し公立保育所整備のための土地取得費、建設費などの補助制度の創設を求めています。
多くの問題が指摘されている中で東京都は、認可保育所の0~1歳児1人当たりの面積基準を条件次第では3・3平方メートルから2・5平方メートルに引き下げる検討を進めています。子ども達を詰め込んで、成長、発達を阻害するようなことは断じて許せません。
区は東京都に対し面積基準の引き下げの検討をやめるように求めるべきです。また、区は、現在でも都の基準に対して上乗せ基準を設けているのですから、都の条例に関わらず子どもたちの保育環境の維持・向上に努めるべきです。 合わせて区の見解を伺います。政府は公的保育の解体を狙う「子ども子育て新システム」を6月までに議論をまとめる方向を示しました。子どもと子育てに関する施策の全般に関わる大きな制度改変を検討会の設置決定から一年余、具体的な議論は昨年秋からのわずか半年程度と、あまりにも拙速で乱暴だと言わざるをえません。
「新システム」は、財界の経済成長戦略の一環として提案されており、幼稚園も含めた保育・子育て分野で「稼ぐ」ことを打ち出しています。区は時代の変化に応じて制度の見直しは必要と答弁してきましたが、子どもの発達よりも「もうけ」を優先するシステムでは子どもの豊かな発達を保証することはできないのではないですか。区の見解を伺います。
新システムでは、保育所と保護者が直接契約する制度に変更され、区の仕事は、介護保険のように要保育度認定と費用の支払いになります。入所先の確保は保護者の自己責任で施設と直接契約し、認定された時間分の保育サービスを受けます。「どの園も申し込みがいっぱいで、入れない」と言う人がでても自己責任ということになり、保育実施義務がなくなった自治体は責任をとりません。要保育度が決められても保育を受けられる保障にはなりません。
「新システム」でさらに問題なのは応益負担を制度の基本としていることです。応益負担は、保護者の所得の格差が保育の格差につながり、サービスの利用を抑制せざるを得ない事態や、保育料を払えないために入所できないことも起こりえます。国民の生活と子育てが困難に直面している時だからこそ、こどもの発達、保護者の就労と生活を同時に保障し、安心して預けられる公的保育制度を守り、認可保育所を緊急増設することが必要です。区は新システムの検討中止を求めるべきです。伺います。
江東区の認可保育所に申し込んでも入れない待機児童は、今年も千人を超えいまだ深刻な事態です。区は、待機児童対策として認可保育園と認証保育所などを整備するとしていますが、多くの保護者は、保育の質と保育料から認可保育園を希望しています。また、認証保育所の多くは営利目的の企業によって運営されており、経済状況が悪化すれば年度途中でも事業の縮小は起こり得ます。保護者の願いに応えて認可保育園の増設で待機児童を解消すべきです。伺います。
次に、地域医療の充実強化について質問します。
東日本大震災を受けて、地域医療の中核を担う公的医療機関の役割が一層浮き彫りになり整備・拡充が強く求められています。
しかし石原都政は、医療改革と称し都立病院の統廃合、公社化等を推し進め、これまでに16あった都立病院を半分に減らしてきました。さらに都の行財政改革実行プログラムでは、都立墨東病院の地方独立行政法人化を視野に入れ検討し、来年度中に結論を出すとしています。
都立墨東病院はこれまで、周産期医療や精神科救急、リハビリなどの不採算部門は行政的医療として実施し、災害時の拠点病院、第一種感染症指定医療機関の指定を受け、地域の中核病院の役割を担い運営されてきました。しかし、地方独立行政法人に移行されてしまうと、経営面での独立性が求められ、都からの補助金が削られ、採算の合わない医療が切り捨てられる危険性が高まるのではないでしょうか。
今でさえ、医師などが十分に確保できず産婦人科の一般分娩や外来診療の受付を中止せざるを得ない事態となっています。区は、医療の後退につながる地方独立行政法人化に反対するとともに、医師不足解消のため、更なる待遇改善を行うなど都立病院の体制強化と充実を求めるべきです。伺います。
次に江東区の地域医療体制について伺います。
地域医療は医師不足のため瀕死の状態になりつつあります。区内でもこれまで、2つの病院が医師や看護師が確保できず病院機能の閉鎖に追い込まれました。そのため、救急医療は後退し、区内91のベッドがなくなりました。区民からは、「救急病院はどこもいっぱいなのに、急にけがや病気をしてしまったらどうなってしまうのか」と不安の声が上がっています。このままの状態を放置すれば、医療体制の不備によって、区民が必要とするとするときに、適切な医療が受けられない事態が起きてしまいます。
医師不足など地域の医療体制が後退した原因は、歴代の政府が「医療改革」の名のもとに推し進めてきた、医療費抑制政策にあり政治の責任は極めて重大です。区は、地域医療体制充実のため、政府に対し医師不足解消を強く求めるべきです。区の見解を伺います。 地域医療の充実、強化についての
3点目は(仮称)昭和大学新豊洲病院についてです。
まず、津波・高潮対策について伺います。今回の東日本大震災では過去に例を見ない大津波により、多くの尊い人命が失われました。また、多くの病院機能も津波によって破壊されてしまいました。平成3年の東京都防災会議では、東京直下において関東大震災級の地震が発生しても津波の高さは最大で1.2mとしていますが、今回のような関東大震災を超える未曾有の大地震が発生した場合、本病院は救援活動の中心基地としての役割を十分に果たせるのか。大震災を教訓に津波・高潮対策を見直すべきではないでしょうか。伺います。
次に、特別療養環境室、いわゆる差額ベッドについて伺います。区は本病院を「女性と子どもにやさしい病院」として位置づけ、地域医療の充実を図り区民が安心して医療が受けることができる体制づくりを目指すとして、多額の区税を投入するなど、手厚い助成を行っております。差額ベッドの取り扱いについて区は、今後、昭和大学病院と協議していくとしていますが、現時点の考えとして総病床数414床のうち、差額ベッド代を取らないベッドを120床設置するとしています。一方、区民から病院の差額ベッド代が高くて払えない。医療の負担を軽くしてほしいという切実な声が多数寄せられています。百億円を超える多額の区税を投入する病院です。差額ベッド代のかからない病床を増やす等、区民の願いに応える病院にすべきと考えます。区の見解を伺い私の質問を終わります。